そっくりさんとドッペルゲンガーのDNAは同じなの？

バルセロナ大学の研究チームは、血縁関係がないのに似ている人は、外見が似ているだけでなく、行動やDNAを共有している可能性があることを研究で明らかにしました。

この研究は小規模なものですが、研究者らは、より大規模なものから同様の結果が得られると期待しています。本研究は、学術誌「Cell Reports」に掲載されています。

できるだけわかりやすいように中学生から高校生にもわかりやすい文章で解説しました。
春休み中のお楽しみいただければ幸いです。

前回のお話　自分のそっくりさんに出逢う確率は？





何十年もの間、家族のつながりがなくても似ている個人の存在は証明された事実として語られてきましたが、それは逸話的な言葉に過ぎず、科学的な妥当性はありません」と、ジョセップ・カレラス白血病研究所の所長であるマネル・エステラー博士は述べています。バルセロナ大学ジョセップ・カレラス白血病研究所の所長、エステラー博士。インターネットやソーシャルネットワークを利用した画像共有の普及により、そのような人々を特定し研究することが可能になりました。





研究者たちは、16組のそっくりさんの遺伝子解析を行いました。その結果、特定の遺伝子変異を共有する人々の中には、見た目が似ているだけでなく、体重や喫煙などの行動特性も似ている人がいることがわかりました。このことは、共有された遺伝子変異が外見以上のものと関連していることを示唆しています。一般的な習慣や行動にも影響を及ぼしている可能性があります。


よく顔が似ている人たちのDNA解析により、彼らの顔の類似性は、無関係なペア間で共有される遺伝子変異に根ざしていることが明らかになりました。
外見が似ている人たちのDNA分析により、彼らの顔の類似性は、無関係なペア間で共有されるある遺伝子バリアントに根差していることが判明しています。


フランソワ・ブルネル

ドッペルゲンガー現象は、超自然的な偶然の産物ではありません。


血縁関係のない顔立ちのそっくりさんをDNA解析したところ、その顔立ちの類似性は、共通の遺伝子変異に根ざしていることが明らかになりました。

私は偶然に従兄弟と結婚しました。そう、私たちの子どもは指が10本、つま先が10本あるのです。
ソーシャルメディアの登場により、家系図が同じでないにもかかわらず、まったく知らない二人が奇妙なほど似ていることに気づくという奇異な事件が増加しています。

現実には稀な存在だったものが、インターネット上ではほぼ当たり前の存在となり、研究者に豊富な画像や情報を提供することで、分子レベルで謎を深く掘り下げることができるようになりました。

スペイン・バルセロナにあるジョセップ・カレラス白血病研究所の主執筆者であるマネル・エステラー博士は、次のように語っています。

この新しい研究結果は、火曜日に雑誌「Cell Reports」に掲載されました。エステラーは、この研究によって「人間の類似性に関する珍しい考察」と、そのような類似性がどこで始まり、どこで終わるのかが判明したと述べています。


4組のソックリさん

研究チームは、カナダのアーティスト、フランソワ・ブルネルの作品を参考に、そっくりさんの追跡調査を行いました。

有名人の中には、自分に似ている人と付き合う傾向がある人がいます。これはドッペルバンギングというブームで知られています。

ドッペルバンギング」：自分に似ている人と付き合うための新用語

カナダのアーティスト、フランソワ・ブルネルは、1999年に同様の研究に着手し、世界中からそっくりなペアを探して写真を撮り始めました。今回のエステル氏の研究成果の中心となったのは、この肖像写真です 。






研究者たちは、ブルネルのプロジェクトから32組のカップルを集め、それぞれのカップルに包括的な生体情報およびライフスタイルのアンケートに答えてもらい、DNA分析用に唾液サンプルを提供するよう依頼しました。グループは3つの顔認識アルゴリズムによってさらに絞り込まれ、よく似た16のグループが明らかになりました。





その結果、そっくりさんは遺伝的特徴や遺伝子型が似ている傾向があることがわかり、人工知能は、顔が最も似ている16組のうち9組が19,277個の遺伝子変異を共通して持っていることを示しました。

遺伝的類似性は、外見だけでなく、身長や体重などの身体的特徴や、喫煙習慣や学歴などのいくつかの行動的属性とも相関があることが、見た目そっくりさんたちの間で明らかになりました。


この研究により、一部のそっくりさんには19,000以上の遺伝子変異が存在することが明らかになりました。
上西ほか
しかしながら、各個人の環境、ライフスタイル、その他の遺伝的要因によって、多くの違いが生じる結果となったのです。

人間の顔の構造に影響を与える可能性のある分子的特性について、ユニークな知見を得ることができました」とエステラーは説明します。"我々は、これらの同じ決定因子が、人間を構成する身体的および行動的属性の両方と関連していることを指摘しています "とエステラーは解説しています。





研究者たちは、参加者の大半がヨーロッパ人であったことなど、今回の研究の欠点を認めつつ、この研究が、生物医学、法医学、進化学の研究に今後も役立つことを期待しています。

エステルラーは、"これらの結果は、DNAから犯罪者の顔を復元する法医学や、患者の顔写真からその患者がどのゲノムを持つかを知る手がかりとなる遺伝子診断に役立つでしょう。とコメントしています。


人間の顔は、個人としてのユニークなアイデンティティを示す最も目に見える特徴の1つです。興味深いことに、一卵性双生児は、顔の特徴とDNAの配列がほぼ同じであるにもかかわらず、他の生化学的パラメータにおいて異なる特徴を示すことがあります。世界的にWWWが拡大し、人間の写真を交換できるようになったことで、オンライン上で家族とは関係のない仮想の双子や二重人格として認識される人が増えています。

我々は、顔認識アルゴリズムによって定義された一連の「そっくりさん」な人間のマルチオミックスランドスケープを詳細に特徴付けました。これらの個人は、同様の遺伝子型を共有し、DNAメチル化および微生物学的状態において異なることを報告しました。

そっくりさんの学術論文は全て英文ですが参考文献３のCellレポートから全て無料で閲覧できます。

そっくりさんの研究は癌や白血病研究者の間で特に注目を浴びています。今後の医学的大躍進にきたいしたところです。


参考文献　

1. People who look alike may share similar DNA: study By Hannah Sparks August 23, 2022
2. Look-alike humans identified by facial recognition algorithms show genetic similarities Ricky S. Joshi 10 Maria Rigau 10 Carlos A. García-Prieto 10 Xavier Binefa Alfonso Valencia Manel Esteller 11 Show all authors Show footnotes
3. Cell:Look-alike humans identified by facial recognition algorithms show genetic similarities