鹿の冬
鹿が冬の間生き残るために使う戦略と、鹿を助けるためにあなたができること

目次
1.シカが冬を乗り切る方法
2.秋から初冬にかけての食生活
3.1月の鹿
4.2月の鹿
5. 回遊性と鹿の移動
6.3月の鹿
7.シカに餌を与える際の注意点
8.鹿・イノシシ・ハクビシン対策関連記事
シカが冬を乗り切る方法
私たちは、厳しい寒さと雪に立ち向かう真冬の間ただ家の中で蜜柑でも食べながらこたつの中で寛いでいます。このような状況下において、「寒くてたまらない」と愚痴をこぼしながら、車からオフィスまで移動するのがやっとという友人や家族がいるのではないでしょうか。そういう、彼らは空調設備に恵まれていますので、寒さ対策は万全です。
ところが、オジロジカはそうはいかないのです。24時間365日、寒さと雪に耐えているのです。
冬は鹿にとって過酷な季節ですが、彼らはどのように生き抜いているのでしょうか。
この記事では、鹿が冬を乗り切るために必要な適応についてご紹介します。

秋から初冬にかけての食生活
真冬を乗り切るのは決して簡単なことではないため、鹿は秋から冬支度を始めます。この時期、シカはドングリなどの高脂肪食が手に入ると、それを食べて体重を増やそうとします。しかし、脂肪をつけるのに役立つのは食べ物だけでないのです。鹿はまた、体重に対する義務的な反応と呼ばれるものを引き起こすのです。シカは冬に備えて、栄養の質に関係なく、食べ物を脂肪に変換し始めるのです。このように、シカは冬を越すために様々な工夫をしているのです。
特に、発情期の雌牛を追いかけることで体重が最大25%も減少するため、この時期の雄牛はかなり厳しい状況に置かれます。このため、12月の日中に成熟した雄牛が餌場を襲う光景を目にすることがあります。発情期に失った脂肪を補充して、残りの冬を生き延びるチャンスを得ようとするのです。

1月の鹿
1月というと厳しい冬のイメージですが、鹿にとってはまだまだこれからが本番です。幸い、1月も鹿は脂肪をたくさん蓄えることができますが、それ以外にも鹿はエネルギーを節約する方法をいくつか持っています。
気温が下がり始め、雪の深さが増すと、シカの行動は劇的に変化します。体温維持に必要なエネルギーを節約するために、日中は群れをなして行動するようになります。また、大豆やトウモロコシ畑など、高エネルギーの餌を狙うようになります。このような高エネルギーの餌は必ずしも脂肪の補給にはならないものの、その日を生き延びるために必要なカロリーの摂取を助けることになります。

冬の間、収穫された大豆やトウモロコシ畑で餌を食べる鹿の群れを思い浮かべる人はたくさんいるでしょうが、農作物は鹿の餌の一部にしか過ぎません。では、この過酷な時期に鹿はいったい何を食べているののでしょうか。
その答えが「ブラウズ(木質飼料)」で す。では、その木質飼料とはどのようなものなのでしょうか。木質系ブラウズとは、その名の通り木質系植物のことです。シカが植物の先端や末端の芽を食べることができる木質植物のことです。鹿が好む木の種類は地域によって異なりますが、北部の州ではポプラの苗木、イースタンヘムロック、極北の州ではカナダイチイなどが良質な木の種類として挙げられます。
農作物がどんなに豊富でも、シカの食餌の40%以上は木質系で占められているというのが実情で日本のシカの食餌の特徴であるともいわれています。シカは何百年もかけて木質系飼料を食べるようになり、非常に複雑な4室構造の胃のpHを維持することができるようになりました。シカにとって木質飼料が重要であることは、シカの生物学者や管理者が生息地管理の必要性を強調する理由にぴったりであるといえます。生息地を管理すればするほど、シカが食べることのできる木質飼料は増えるばかりであるという仕組みができています。

もうひとつ、シカが生きていくために、大豆やトウモロコシ畑から出る穀物を十分に摂取することがいかに難しいか、ほとんどの人が考えていないようです。鹿は1年を通して、1日6〜10ポンドの餌を消費する必要があります。幸い、冬場は代謝が落ちるので、それほど多くの食料を消費する必要はありません。しかし、それでも3~6ポンドの重さのトウモロコシの実や豆のさやが何個必要なのか、想像もつかないのではないのものでしょうか。さらに、ほとんどの農地は収穫後に耕されるため、廃棄穀物を見つけるのはさらに困難です。木質バイオマスの重要性がよくわかります。
2月の鹿
2月は冬の気候の厳しさを実感される方が多いのではないでしょうか。吹雪、雪、寒さ、そして強風が、この月に不快な日々をもたらします。しかし、2月は春を予感させるような良い天気が続くこともあります。しかし、シカにとってはそうとは限りません。鹿は1月で冬の間に蓄えた脂肪を消費してしまうので、2月に入ってからが本番なのです。

回遊性と鹿の移動
オジロジカというと、あまり典型的な移動種とは思われないかもしれません。一般に渡り鳥というと、カリブー、エルク、プロングホーン、ミュールジカなどを思い浮かべる人が多いのではないのしょうか。生物学者の間では、ミネソタ、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルバニア、ニューヨークといった極北の州では、1月下旬から2月にかけて鹿が群れを成して結界地へ移動することが以前から知られていました。
このようなヤーディングエリアには数百頭のシカが集まり、冬を越すのに役立っているというのが現状なので、ヤーディングエリアは冬を越すのに最適な場所となっています。ヤーディングエリアは歴史的にシカに木質ブラウズを供給してきた場所で ある一方、シカがヤーディングエリアに出入りするための移動回廊を形成することも可能で あったとされています。この経路は雪道であるため、シカは容易に移動することができたとされています。また、シカはオオカミなどの捕食者から逃れやすくなるという利点もあります。また、ヤーディングエリアでは、数頭のシカが隣り合って寝ることができるため、体温調節がしやすくなります。

北部の森ではシカの移動は一般的で、以前から記録されているが、ダコタ州やミネソタ州南部など農業が盛んな地域のシカは、冬の間は移動することはないと考えられてきました。しかし最近の研究で、ノースダコタ州やサウスダコタ州などでは、やはり高い割合でシカが冬に移動することが明らかになりました。
一般的にダコタ州は農業が盛んな地域と考えられていますが、なぜシカは移動する必要があるのでしょうか?
まだ解明されてはいないものの、最も論理的な仮説のひとつは、食料と隠れ家に関わるものであるということです。すでに述べたように、多くの農地は収穫後すぐに耕されるため、農地は不毛の地となります。そのため、農業が土地利用の60%を占める地域もあり、不毛の地となってしまうので注意が必要です。とはいえ、1月から2月にかけては、鹿はまだ十分な資源を持っているはずです。

それは文字通り、緑の草原を探す時なのです。農業が盛んな地域の鹿も、残りの冬を生き延びるために必要な資源を探しに移動することになります。食料はその筆頭に挙げられますが、冬の間、身を隠すことの重要性を軽視してはいけません。ダコタ州の研究では、成獣が移動する確率は、冬期の生息域内の森林の量が増えるほど低くなることが示されているのです。
このことは、シカの体温調節に森林が重要であることを示すだけでなく、冬季の木質ブラウズの潜在的な重要性をも示しているのです。

3月の鹿
獅子のごとく入り、子羊のごとく去る。3月はオジロジカの越冬の危険な時期であることを示す格言で有名です。12月、1月、2月がいかに厳しかったとしても、シカはどのような冬でも生き延びることができるのです。鹿は蓄えた脂肪をゆっくり着実に燃焼させていくので 。そして3月。3月上旬はまだ寒さが厳しく、鹿は蓄えた脂肪の最後の一滴まで使い果たすことになるのです。3月下旬になると気温が上がり、雪も溶けていきます。
気温が上がるということは、鹿の体温維持に必要なエネルギーが減るということでもあり、また雪解けが進むということでもあります。雪が少なくなることで、鹿は餌を見つけやすくなり、雪をかき分けて餌にたどり着くことができるようになります。3月中に気温が上がれば、シカは安心して冬を越せるでしょう。しかし、3月中も厳しい冬型の天候が続いたらどうなるの でしょうか?
多くの生物学者が、シカにとって致命的なのは1月、2月の厳冬期ではなく、春まで厳しい冬がどれだけ続くかで勝負が決まると言っています。シカはそれまでの数ヶ月を生き延びるために十分な脂肪を蓄え、3月下旬から4月にかけて春が訪れると、その脂肪を補充し始めるように適応しているのです。

しかし、3月中も厳しい冬の気候が続くと、シカは困ってしまいます。3月下旬になると、その地域の食糧資源に関わらず、ほとんどの食糧資源が枯渇してしまうからです。つまり、シカが餌を見つけられなければ、餓死してしまう危険性があるのです。では、このストレスの多い時期に、シカを助けるにはどうしたらいいの でしょうか。
シカに餌を与える際の注意点
鹿が厳しい冬を乗り切るためには、残念ながら「やってはいけないこと」のほうが多いのです。一番やってはいけないことは、殻付きトウモロコシのような高エネルギー食品を大量に与えないことです。
毎年同じように、鹿が冬を越せるようにと殻付きトウモロコシを置いたのに、そのすぐそばで数頭の鹿が死んでいた、という話を耳にすることがあります。
なぜ鹿は廃棄穀物や立ち食いトウモロコシを食べても大丈夫なのに、殻付きトウモロコシは生存の大きな妨げになるの?
実は、トウモロコシは高エネルギー食品であり、冬などのエネルギー的にストレスの多い時期を生き延びるのに役立つが、一般的には鹿にとって最適な食品とは言えないというのです。トウモロコシは消化が悪く、胃の中のpHを変化させるからです。そのため、トウモロコシを消化するために、鹿の胃の中のバクテリアの組成を変える必要があります。鹿が廃棄穀物を食べているときは、通常、害を及ぼすほどの速さで十分な量のトウモロコシを消費することはない、というわけです。

また、立ち食いトウモロコシの場合は、粗飼料となるトウモロコシの茎の部分を食べて、胃の中のpHを維持することができます。問題は、鹿が殻付きトウモロコシに無制限にアクセスできるようになった場合です。粗飼料を摂らずにトウモロコシを食べ過ぎると、胃の中のpHが急速に上昇し、鹿の命を奪うことになりかねない行為です。このpHの変化はアシドーシスと呼ばれ、鹿はほとんど即死状態になってしまいます。善意でやっていることが、かえって命取りになることもあるというので注意が必要なので気をつけてほしいということです。
一般的に、野生動物に餌を与えることは、良いことよりも悪いことの方が多いと言われています。ですから、鹿が厳しい冬を乗り切るために、山盛りのトウモロコシを与えるのは避けましょう。しかし、心配はいりません。鹿が冬を越すためにできることがいくつかありますから、特に狩猟地の管理ができる人なら、できるはずです。

最も簡単なのは、トウモロコシや豆を植える区画をいくつか作り、冬の間そのままにしておくことです。区画の大きさにもよりますが、冬の間、重要な食料資源として役立ってくれることでしょう。もし、狩猟をする場所にフードプロットを植えることができなくても、農業が盛んであれば、農家と交渉して、トウモロコシや豆を放置しておくことができるかもしれません。これは、一定量の作物を収穫しなかったことによる損失を農家に支払うというような簡単なことかもしれません。運が良ければ、農家が無償でやってくれるかもしれません。
より恒久的な対策は、生息地の管理に取り組むことです。地域の野生生物学者や森林管理官と話すことで、あなたの木材のどの部分とどの木を切る必要があるのかをよりよく理解することができます。生息地を改善するために木を切るというのは直感に反するように思えますが、実際には木を切ることで林床に日光が当たり、下草が生え始めるのです。
そして、重要な木質ブラウズ種を含む、良質なシカの食草が再生されます。鹿は地面から5、6フィート(約150cm)以上の高さのものは食べられないので、もし森の中に入って100ヤード(約160cm)以上先まで植物に邪魔されずはっきりと見えるなら、それは鹿の群れに食べ物や隠れ場所を提供していないことになるのです。生息地の管理には多大な労力がかかるが、長期的なメリットも期待できるということなので積極的に取り組んでいきたい。
信じられないかもしれませんが、シカにはいくつかの適応能力があり、冬を乗り切るための装備はかなり整っていると言われています。しかし、そのような適応力をもってしても、3月下旬から4月にかけて冬の気候が続くと、鹿は困難に直面することになります。鹿の生存を助けるために餌を与えることは避けるべきですが、鹿が狩猟地で冬を越せるか心配な場合は、いくつかできることがあります。

もし可能であれば、大豆やトウモロコシなどの作物を冬の間、放置しておくようにしましょう。これらは高エネルギー含有食品であり、鹿が生き延びるのに役立ちます。また、この数ヶ月の間、隠れ家や木質のブラウズを提供する生息地管理を行うことも検討すべきです。鹿は素晴らしい動物です。この記事を読んで、鹿が厳しい冬を乗り切る方法を理解していただければ幸いです。

Strategies Deer Use to Survive the Winter Months and What You Can Do to Help Them January 16, 2019
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